「 − この、五十人の普通の学級の中に、強度の弱視や難聴や、さらに精神薄弱や肢体不自由の児童・生徒が交じり合って編入されているとしたら、はたしてひとりの教師よるじゅうぶんな指導が行われ得るものでしょうか。特殊な児童・生徒に対してはもちろん、学級内の大多数を占める心身に異常のない児童・生徒の教育そのものが、大きな障害を受けずにはいられません。
五十人の普通学級の学級運営を、できるだけ完全に行うためにも、その中から、例外的な心身の故障者は除いて、これらとは別に、それぞれの故障に応じた適切な教育を行う場所を用意する必要があるのです。
特殊教育の学校や学級が整備され、例外的な児童・生徒の受け入れ体制が整えば、それだけ、小学校や中学校の、普通学級における教師の指導が容易になり、教育の効果があがるようになるのです。」『わが国の特殊教育』第一章特殊教育の使命1961年(昭和35年)文部省より
→この年から全国一斉学力テストが実施され、その平均点を競い合うため、障害を持つ子が特殊学級に追われた。平均的日本一の香川県は、特殊学級増設でも日本一だった。
養護学校義務制実施
障害の重い子どもを小・中学校で教育することの問題点
1.障害の重い子どもに対しては、小・中学校では適切な教育ができない。
A.一般の教育課程に適応することが困難。
B.障害に応じた特別指導(点字学習、口話法等の指導、機能訓練など)を受けられない。
2.一般の子どもたちの教育に支障が生じる恐れがある。
A.40人学級では、担任教員が、障害児の世話に追われ、一般児童の教育に支障が生ずる。
B.教員および一般児童の負担が増える。(善意の手助けのみを当てにできない)
3.多額の財政負担を強いられる。
A.学校施設の改善(スロープ、エレベーターなど)や、特別設備、スクールバスの整備が必要となる。
B.専門教員、介助職員が必要となる。
C.盲、ろう、養護学校整備との関連で二重投資となる。
4.現行の特殊教育制度、ひいては学校教育制度全体の根幹に触れる大きな問題となる。
→国際障害年のこの年「中央心身障害対策協議会」は統合教育を検討していましたが、文部省の介入により「完全参加と平等」の中身が「交流」にとどまった。